オンラインショップで成功する秘訣とは
ゴルフ場関係者の必読本『 ゴルフ場セミナー7月号 』(ゴルフダイジェスト社)に取材記事が掲載されました。掲載許可を頂きましたので、こちらでご覧下さい。
新型コロナウイルス感染拡大防止策として、クラブ施設の利用を制限しているゴルフ場は少なくない。それにより、ハウス売店やレストランの利用が減少している。 新型コロナウイルスとの闘いが続くなか、対面での販売方法を選択せざるを得ないリアル店舗では売上げが厳しくなると予想され、社会的にもオンラインショップの需要が高まっている。
ゴルフ場も、売上を伸ばすための新たな販路を開拓するため、そしてハウス売店の商品や人気メニューを販売するために、オンラインショップを始めてはどうだろう。 オンラインショップ開店のコストが気になると思うが、「STORES」(ストアーズ)や「BASE」(ベイス)などのEC(電子商取引)支援サービスを利用すれば、無料または格安で簡単に開設できる。
だが、お客をオンラインショップに呼び込むには、サイトデザインのクオリティも重要なので、EC事業の専門業者にアウトソーシングするのもよい。近年は、業者間での競争が激しく、安く発注できるケースも多い。10万円程度の予算でお客の購買意欲を高めるクオリティの高いデザインにすることもできるだろう。すでに自ゴルフ場のHP制作・更新を外部に発注している場合は、低予算で引き受けてくれることが多い。 ほかにも、商工会議所などの公的な機関に相談すると、EC事業の専門家を無料または格安で派遣してくれるので、活用をお勧めしたい。
ショップ開設の目的や目標、方針を明確に
オンラインショップの開設が決まったら、最初に策定しておきたいのが、「ビジョン」、「ミッション」、「コンセプト」の3点。つまり、どのような目的・目標・方針を基に開店・運営するのかを、明確にしておく必要があるということだ。
ハウス売店の商品の販売を伸ばすことなのか、レストランの名物料理を多くの人に味わってもらいたいのか。目的や方針によって、サイトの作り方も変わってくる。
これは企業経営にも通ずる考え方だが、これらが定まっていないと、オンラインショップに限らず、成功は難しい。
次に、オンラインショップを運営するにあたってどのような役割・担当業務が必要なのか、表を参考にして考えてほしい。 専任のEC事業担当者をおいて、すべての業務を担当してもらえればよいが、それが難しい場合は、複数のスタッフに従来の業務に加えて表の役割を兼務してもらうことになる。扱う商品の種類や数に応じて、チームの担当人数を決めてほしい。
メンバーをターゲットに実店舗との相乗効果を
次に、購入ターゲットを明確にした上で、扱う商品のラインナップを決定する。
一見オンラインショップの方が幅広い世代に訴求できるように思えるが、男女すべての世代が閲覧するオンラインショップはほとんどない。お客の顔が見えないため、商品を選ぶためにターゲットを絞ることが重要となる。
一方、実店舗はお客の顔が見えるため、「どの購買層が、どの商品に関心があるか」を調査しながらターゲットを広げることができるし、顧客ニーズも把握しやすい。その点、ゴルフ場はハウス売店とオンラインショップのメリットをそれぞれ利用できる。つまり、自ゴルフ場をよく利用するメンバーや常連客をメインターゲットに設定するのが効果的で、強みだと考える。
ハウス売店では、スペースの関係上、お客が望む色やサイズがピッタリと合う商品の在庫がないかもしれない。そういう時にオンラインショップを開設していれば、タブレット端末を使ってその場で商品を選んでもらい決済・配送の手続きまで完了させられる。米国のある靴屋では、実店舗には展示品のみで商品は一切なく、その場でサイズや履き心地を確認してもらって注文を受け、商品はすべて配送というスタイルをとっているところもある。
定期的に来場するメンバーであれば、自宅で商品を選んでオンライン注文し、ハウス売店で受け取ることもできる。オンラインショップを上手く活用すれば、ハウス売店の売上げを伸ばすことにも繋がる。
オンラインショップを開設したら、クロスメディア戦略を取り入れてお客を呼び込もう。クロスメディア戦略とは、チラシ、HP、新聞、メルマガなど、様々なメディアを用いる(クロスさせる)ことで、効果的なマーケティングやプロモーションを行う手法である。その1つとして、SNSなども大いに活用できる。
たとえば、ツイッターでオンラインショップや入荷した商品を紹介したり、フェイスブックでメンバーをショップへ誘導することもできる。紙媒体にQRコードを記載しておけば、お客も簡単にオンラインショップにアクセスすることができる。
また、集客(特に新規)に欠かせないのが、SEO(Search EngineOptimization:検索エンジン最適化)だ。これは、一般的に「Google」や「Yahoo! Japan」などの検索時に、自ゴルフ場や自ショップなどを上位にランクインさせる技術やノウハウのこと。SEOを活用して、検索時に人の目につきやすくしてみよう。まずは、主要な検索エンジンである「Google」のクローラー(プログラム)の巡回先に登録したり、共通するジャンルのWebサイトと相互リンクを張ったり、サイトマップを登録しよう。
また、「Google Analytics」などのアクセス解析ツール(無料)を活用すれば、顧客行動を分析できるので、自オンラインショップの強みや足りないところが分かり、効率的な改善方法を見つけやすい。
目的に応じて物販サイトを活用する
ここまで自社サイトでのネット販売を想定して話をしてきたが、売上げを早期に立てやすい方法として、大手通販サイト(Amazonや楽天市場など)への出品・出店がある。大手通販サイトへ出品・出店すれば、閲覧者数は格段に上がる。
ただし、ネット物販のみで大きな収益を上げたいのであれば検討すべきだが、あくまで副次的な利益を追求するのであれば、無理に出品・出店する必要性は低い。 というのも、大手通販サイトでは、他業種から参入する競争相手も非常に多く、同じ商品あるいは類似商品であれば、利用客のほとんどが最安値の店舗からの購入を考えるからだ。ネット物販をメイン事業にしている企業も多く、それらの企業と価格で競うには、最安値あるいはそれに近い値段設定をせざるを得なくなる。自ゴルフ場の知名度アップを目的に出品(出店)するならば、その効果も期待できるが、単に収益を上げることが目的ならば費用対効果は低いため、あまりお勧めできない。
なお、レストランで提供している名物料理など他にはないオンリーワンで、お客の心を掴むものは、販売効果が期待できる。ただし、料理をオンラインショップで販売する場合には、保健所から別の許可証が必要な場合があるので要注意だ。
ちなみに、ゴルフ用品に特化した物販サイトなら、出店を検討してもよいと思う。主な購買層や競争相手が、それぞれゴルファー、ゴルフ場と限定されるため、様々な戦略を立てやすいだろう。また、地元の商工会などが運営する地元商品に特化したような物販サイトへの出店も、検討の余地があるだろう。
今回の新型コロナウイルス感染拡大により、オンラインでの注文需要は高まっており、今後もますますオンラインショップ利用は増加していくと予想されるので、またとないチャンスでもある。ぜひ、ゴルフ場もネット物販を活用して、新たな収入源を確保してほしい。
投稿者プロフィール
- 2004年よりECサイト売上ノウハウの講師を担当し、全国で売り上げアップの連続セミナーを開催。コーチングを取り入れた講演は、参加者の問題解決や気づきに活かされ、内外から高い評価を受け開催オファーが後を絶たない。オリジナルメソッドで、すぐに実行できる実践体験型セミナーを開催する。全国高評価講師 第1位(全国商工会連合会「経営革新塾」(IT戦略的活用コース)2010年顧客満足度調査)
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